青天目 起江(なばため ゆきえ)
<詩作品>
淋しさでできている
愛という言葉が溢れ過ぎていやしないか
まるで生まれてたてのひよこに
すりこむように
それにしても
愛を表する数は溢れているのに
世にはうまく受けとられていないようだ
どうしてこうにも空気は荒む
愛は素晴らしいと謳わなければ
まだ僕らは愛するということを守ることができないのか
それだけ進化が足りないということか
こんなふうに一見崇高そうに
詩を書いても
自分が一番愛を知らないので
溢れる愛の表現を疑い
うんざりだと
心の中でしか呟けない
窓がいつか開くことを夢見るだけの生き物
淋しさの飢えを抱えて、狂おしさを抑えるのか
それでも今
「さみしい」と
口に出せて肩が軽くなった
これは恥ずかしいことかもしれないけれど
気づけてうれしい
愛は一番弱いところで繫がりあうのだろうか
草むしり
夏は戦争だ
易い作業にあらず
抜いても抜いても
二、三日の雨で
休みになると
その間
ぐんぐん、ぐんぐん
生えてくる
たかが
草だろうと
放っておいてもかまわない
でも注意して
その人の住んでいる所が
その人の心の有様なんだって
真理でもあるし
周りも同じ人だもの
同じように考える
人生は
進むだけでは
大切なものを無くしてしまうから
守ることも必要なんだ
草むしりは守ること
大切なこと
仕事に行ってる間に
草むしりして
家を守ってくれている
父、母に、
低頭です